台風の影響で延期となった、
2018年10月14日(日)の山口県伝統生薬研究会の「腎陽虚」を中心とした講演は、無事終了することが出来ました。
厚く御礼申し上げます。
また、別のメーカーになりますが、
2018年11月6日、2019年3月5日(アパホテル<山口防府>)の
山口小グループ漢方研究会の講師も無事につとめられました。重ねて御礼申し上げます。
昨日エシャレットを紹介するテレビ番組をやっていたのですが、
なかなか面白かったので、以前書いていたエシャレット関係の文章を、
データ化してみることにしました。
その番組では胆汁酸とエシャレットの関係を説明し、
便秘に対する有効性を紹介してありましたが、
なかなか根拠(エビデンス)がしっかりしていると思いました。
余談ですが最近グーフィスという、
胆汁に作用点をもつ便秘の新薬(医療用)が発売されたのも、
何かしら関係がありそうです。
個人的には非常に有用な薬だと思います。
便秘改善効果の詳細は他のページに沢山書いてあると思いますので、
こちらでは省略させてもらうことにします。
ところで、エシャレットとはラッキョウなのですが、
あまり知られていませんが、
漢方で胸痺といわれる、
狭心症などの心疾患の常用薬だったりします。
代表処方は栝楼薤白白酒湯で
胸痺の基本処方とされ、
狭心症発作に効くことが知られています。
まずは病院で処方されている、
ニトログリセリンのような狭心症発作の薬を飲んでからの事となりますが、
補助的意味付けとしての有用性はあるのではないかと思います。
時々胸が苦しくなるのがとても辛いのに、
「心電図では異状ない」
ので明確な治療を行ってもらえてない方に良いのではないかと思います。
女性にこういった方多いと思います。
処方量は1日分で、
(栝楼薤白白酒湯)
栝楼仁2g、薤白(ラッキョ、エシャレット)6g、
白酒 適量(約15mlが妥当か?)
が日本人には適切な量として中医処方解説という本に記載されています。
30分くらい栝楼仁、薤白を煎じて最後に白酒をいれて飲むものです。
アルコールは飲み過ぎ注意です。
ちなみに中国量(やはり1日分)は
栝楼仁12g、薤白(ラッキョ、エシャレット)9g、白酒30~60ml
となっています。
中国でいう白酒はトウモロコシやサツマイモなどを原料とした蒸留酒なので、
日本では芋焼酎が入手しやすいと思います。
昔は白酒を入れて煮込んだようですが、
現代では栝楼仁・薤白を煮込んだあとの煎じ液に、
白酒30~60mlを入れれば良いと言われています。
お酒に弱い方もいらっしゃるのでそのときは減量ないし削除して下さい。
現代では白酒の方は別の種類でもいいと百度百科に書いてあるので、
あまりこだわらなくてもいいようです。
しかしながら、
栝楼仁は漢方系の薬局じゃないとなかなか置いていないと思います。
重要生薬なのであった方がいいと思います。
効果が期待できる証(体質のタイプですね)は、
胸部の鈍痛と苦悶感・胸痛が強いと背中や上腕に放散する・呼吸困難・呼吸促迫などの症候に、
「舌の上にある苔が白く比較的沢山あって、油のようにべっとりついている」
(舌苔白膩)
方によく効くとされています。
何億人かに何千年の間だけ効果があった歴史があるので、
興味のある方は試して見ても良いかもしれません。
ちなみに、お仲間処方の栝楼薤白半夏湯や、
活血剤といわれる丹参などを加えたアレンジ処方が
(その道の方に限ってですが)有名です。
栝楼薤白半夏湯(上海科学技術出版社)の量は、
(↑カラスビシャクです。半夏はこれから作ります)
(栝楼薤白半夏湯)
栝楼実12g、薤白(ラッキョ、エシャレット)9g、半夏12g、白酒 活量(栝楼薤白白酒湯と同じ30~60mlが目安ではないでしょうか)
です。
いわゆる中国量ですので、
日本人は3分の1から始めていくと良いでしょう。
そうすると、
(栝楼薤白半夏湯)
栝楼実4g、薤白(ラッキョ、エシャレット)3g、半夏4g、
白酒 活量(10~20mlが目安で、平均を取ると15ml)
となります。
厳密にこれが正しいという保証は致しかねますので、
責任は負いかねます。
近年はちゃんとこう書いておかないと色々言ってくる人もいたりします。
当然、生薬量が多い方が効果が出やすいですが、
日本人には多すぎるのかもしれません。
ただ一方で、
中国人で大丈夫なものを日本人が飲んだからといって、
「重大な問題とまでは言えない」のではないかとも思います。
中国人も日本人も同じ人間です。
この栝楼薤白半夏湯は、
先の栝楼薤白白酒湯の証がある方で、
「痰が多い・胸苦しいなどの症候が強い時」に用います。
ここでもう一つ、
関連処方である「枳実薤白桂枝湯」も紹介しておこうと思います。
方剤の構成は(1日分)…
(枳実薤白桂枝湯)
枳実12g、厚朴12g、薤白9g、桂枝6g、栝楼実12g
となります。(上海科学技術出版社)
こちらもいわゆる中国量ですので、
やはり日本人は3分の1から始めていくと良いでしょう。
そうすると、
(枳実薤白桂枝湯)
枳実4g、厚朴4g、薤白3g、桂枝2g、栝楼実4g
となります。
(以下同文的に)厳密にこれが正しいという保証は致しかねますので、
責任は負いかねたりします。
1日分を通常2~3回に分けて飲みますが、
煎じはお昼に飲むのは、
わりと大変なので朝夕2回で良いと思います。
この処方は栝楼薤白半夏湯の証にプラスして、
「心下部がつかえて張る・胸に何かがつきあがってくるような感覚の症候が強い場合」に用いるものです。
所々にある緑のラインは日本の方が自主的に(自己責任とも言う)飲むときに分かりやすいかと思って線を引いておきました。
薬局でこれらの生薬を製造して(混ぜて)売ることは法律上できませんが、
生薬をそれぞれ買ってご自身が混ぜる分には問題はありません。
現実的には基本となる方剤とは別に、
薤白をお茶のようにして飲んでもらう事になるでしょう。
ちなみに栝楼薤白半夏湯を「自家用に」作っている医療関係者なら見たことはあります。
いろいろ書きましたが、
気になる方は
「エシャレット 食べてみては?」
P.S.
こんな症状は漢方で治せるか知りたいといった記事があれば、
時間は少々かかりますが
(土曜日込みで19:30までの営業で、日曜日も大半勉強会に出ていますので…)
なるべく載せたいと思いますので
是非コメントしていって下さい。
また、ここからは2018年の7月23日に書き足しているのですが、
昨日、坂井 美穂という薬膳の調理師の方が、
「林先生が驚く初耳学」にでておりました。
薬膳自体は知っておりましたが、
フレンチにアレンジしたものを出されているようです。
大変興味を惹かれました。
フレンチの薬膳、
是非一度食べてみたいものです。
(著者 薬剤師 国際中医専門員A級合格者 山内漢方薬局 山内)