魚の浮袋の効果

魚鰾(ぎょひょう)

台風の影響で延期となった、
10月14日(日)の山口県伝統生薬研究会の「腎陽虚」を中心とした講演は、
無事終了することが出来ました。
厚く御礼申し上げます。
また、別のメーカーになりますが、
11月6日(アパホテル<山口防府>)の
山口小グループ漢方研究会の講師もさせて頂きました。

音声での紹介もあります(この項の全文です)

最近TVで魚の浮袋を取り上げた番組をやっていました。

そういえば、東洋医学の分野では知られているかもしれませんが、
日本ではあまりなじみがなく、
メジャーでもないかと思います。

日本でも発売されているのですが、あまり知られてないでしょう。

不妊の相談なんかで登場するものです。

とかく、女性のせいにされがちですが、

文字通り責任転嫁というものです。

男性陣も頑張りましょう。



(オーーーーーーーーーーーーーー!)

インターネットを検索してみてもあんまり詳しい情報が出てこないので、
ちょっとページを作ってみることにしました。

あんまり、日本語のもので充実している情報源がないので、
百度(バイドゥ)百科という中国のWikipediaというべきもの(信頼性が高いので)を参考に
少々説明してみようかと思います。

医学用語を翻訳機能にかけると、まぁ好き勝手な文章が沢山出てきます。

専門用語が多いからだと思いますが、まだまだ、改良が必要なようです。

まず、名前は魚鰾(ぎょひょう)といって、
ニベ科の魚のフウセイ、キグチや、
チョウザメ科のダウリアチョウザメ、カラチョウザメなどの浮袋です。

ニベ科のフウセイ、キグチは日本ではあまり食べられませんが、
大きくはスズキの仲間です。

海でたまに釣れるイシモチもニベ科です。

山口県でも釣れます。

そして、チョウザメ といったらキャビアを思い出す人も多いでしょう。

そして、漢方でいう帰経きけいは肝腎。
味は甘、性は平。無毒。

効能は補腎益精(ほじんえきせい)滋養筋脈(じようきんみゃく)、止血、散()、消腫となっております。

補腎益精(ほじんえきせい)とは、漢方でいう腎を補うので、精力のみならず
ホルモン系、骨代謝など生命エネルギーの源を補うことができます。

滋養筋脈(じようきんみゃく)とはスジや血管に栄養や潤いが行き渡るようにすることです。

ここがやられると痙攣などが起きたりします。

さらに、瘀血(おけつ)と呼ばれる血の濁りをとり、
止血し、腫れを消し去ることができます。

この性質から腎虚滑精(じんきょかっせい)、産後風痙(ふうけい)、破傷風、吐血、血崩(けっぽう)、創傷出血、痔瘡
の治療に用いる事ができます。

例によって注釈を入れますと、
腎虚滑精(じんきょかっせい)とは漢方でいう腎が弱いために精液を留めておく力(固摂(こせつ))が弱く、
精液が漏れ出てしまう事を言います。

産後風痙(ふうけい)とは、出産後に手足など各所のふるえや痙攣、背中の硬直、
ひどい場合には歯を強く食いしばった状態で硬直が起こったり、
背中が弓なりに反ったりするといった症状が出ることがあります。

これに使えるのであれば破傷風(はしょうふう)に使えることは、
補足の必要は特にないかと思います。

そして、血崩(けっぽう)とは女性が陰道より大量出血することを言います。

用法用量は煎じ薬だと15~25gとなっております。

中国量なので少なめに考えた方が良いでしょう。

丸剤にはドロドロに煮詰めた物や、
細かく砕いて粉にしたものを使います。

外用としては溶かして塗ります。

ちなみに、消化不良、食欲不振、食後膨満感がある人、
痰が多い方は使用できません。

こってりと体を補うタイプの生薬には、
こういった縛りがあることがよくあります。

滋養たっぷりなことが常にいい事とは限りません。

そうは言っても、「とても切実な悩み」から、
どうしてもこれを使ってみたいという方もいらっしゃると思います。

それならば、
六君子湯(りっくんしとう)などの化痰作用を併せ持つ胃腸を補助する処方の併用
という方法を取ることもできます。

消化不良が強ければ
山査子(さんざし)に代表される消導薬(しょうどうやく)を使うのも有力な選択肢だと思います。

漢方でいう「精」を足したり、増やしたりする生薬には
紫河車(しかしゃ)肉蓯蓉(にくじゅよう)鹿茸(ろくじょう)鹿角膠(ろっかくきょう)鎖陽(さよう)蛤蚧(ごうかい)蓮子(れんし)何首烏(かしゅう)…等があるので、
体質(証)にあわせてそちらに方向転換する方法もあります。

面白いところではナマコもその効能をもっていたりします。

話を戻して、百度百科を更に読み進めていきますと、
「方剤セレクション」が出現します。

これは、なかなか全部訳すのは大変なのと、
無理に漢方でやらなくてもいいと思う事も書かれているので
簡略化していきたいと思います。

例えば、破傷風(はしょうふう)の治療について書かれていたりもしますが、
現代においては、破傷風(はしょうふう)トキソイドを打てば

話は終了してしまいます。

しかし、産後風痙への有用性は高いなと思います。

現代医学でいう、産褥子癇(さんじょくしかん)のことです。

子癇(しかん)は妊娠高血圧症候群の方の約1%に発症し、

うち妊娠子癇(しかん)が半分、分娩子癇(しかん)産褥子癇(さんじょくしかん)を合わせたものが
半分くらいの割合でおきます。

分娩全体だと0.05%、
すなわち先進国では2000人に1人くらいの割合で
発生するといわれています。

子癇(しかん)発作が反復すると脳浮腫をきたし、致死的となりますので、
選択肢が多いに越したことはないと思います。

常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)、肺水腫、誤嚥性肺炎、心不全、
脳血管疾患を合併しやすいのも気になるところです。

因みに、
妊娠中の脳梗塞も脳出血も
子癇(しかん)・妊娠高血圧腎症に4割ほど続発します。

ゆえ、子癇(しかん)の後、脳出血が見つかっても、
それだけでは脳出血を見落とした(誤診)とはいえないという、
やっかいさがあります。

しかも、子癇(しかん)発作直後はちょっと動かしたり、
光があたったりするだけの事が痙攣発作を引き起こして、
命にかかわる事態をかなりの確率で起こすので、
普通はCTとかは取らないのです。
(というか、ものすごくハイリスクなので取れない…)

治療としては気道確保、酸素投与、輸液管理、舌損傷の予防、
そして薬剤師の専門分野である薬物療法が行われます。

使われる薬剤は、
抗 痙攣(けいれん) 薬の硫酸マグネシウム
フェニトイン、ジアゼパム、フェノバルビタールなどの静注や、
降圧薬のヒドララジン、ラベタロールなどです。

特に、硫酸マグネシウムは非常によく使われるものです。

ちなみに、慢性の妊娠高血圧症候群の場合は
メチルドーパなどの降圧剤になります。

急性期や発作時に魚鰾(ぎょひょう)を使うというのは現実的ではないので、
少し症状が落ち着いてから再発予防も兼ねて
飲んでもらえれば良いかと思います。

また、男性の方では、
腎の気が不足(腎気虚(じんききょ))すると、早漏・夢精・遺精などが起きることがあります。

腎は(せい)を貯蔵しているので、
過度の性交・手淫などで腎気を消耗すると、
初期は早漏を呈し、ひどい場合はED(勃起不全)となります。

………

この腎気虚(じんききょ)の特徴は、
腰や膝がだるい・腰痛・脱毛・歯がぐらつくなどの症状があることです。

このタイプは、魚鰾(ぎょひょう)を試してみる価値が特に高いと思います。

うちにも「海精宝(かいせいほう)」という魚鰾(ぎょひょう)を使った健康食品があったりします。

健康食品なのでどこにも効能・効果は書かれていないので、
買いやすいかもしれません。

ちなみに、早漏で多いのは先の腎気虚(じんききょ)
そして肝経湿熱(かんけいしつねつ)心脾両虚(しんぴりょうきょ)心腎陰虚(しんじんいんきょ)
ではないかと思います。

それぞれ特徴を書き足しておきますと、
肝経湿熱(かんけいしつねつ)はイライラ・尿が濃い・排尿困難・口が苦い・陰部の搔痒・舌苔が黄、
心脾両虚(しんぴりょうきょ)が顔色に艶がない・元気がない・痩せている・倦怠感・食欲不振・泥状便・動悸・自汗・多夢・健忘・舌質が淡、
心腎陰虚(しんじんいんきょ)は盗汗・潮熱・五心煩熱(ごしんはんねつ)・口渇・腰がだるい・頭のふらつき・めまい・耳鳴・尿が濃い・舌質が紅です。

そして、心腎陰虚(しんじんいんきょ)についてもう少し補足しますと、
これは心脾両虚(しんぴりょうきょ)がずっと続くことによって、
さらに重症になった状態ですので、
心脾両虚(しんぴりょうきょ)の症状も通常併せ持っています。

もう一つ付け加えますと、
この心腎陰虚(しんじんいんきょ)肝経湿熱(かんけいしつねつ)も尿が濃いという症状が起こりえますが、
心腎陰虚(しんじんいんきょ)の方は体を冷やす為に必要な水や血が減少しているせいで熱が溜まっていることによって
肝経湿熱(かんけいしつねつ)必要ない熱と水分が溜まっていることによって起こっている点が異なります。

ゆえ、心腎陰虚(しんじんいんきょ)の方は必要なものを補う事によって治療できますが、肝経湿熱(かんけいしつねつ)の方は余分なものを排除することによって治療します。

方向性が逆になりますのでご注意下さい。

さらに、代表処方も書き足しますと、
腎気虚(じんききょ)鹿角散(ろっかくさん)
肝経湿熱(かんけいしつねつ)加味三才封随丹(かみさんさいふうずいたん)
心脾両虚(しんぴりょうきょ)帰脾湯(きひとう)竜骨(りゅうこつ)鹿角(ろっかく)などを加える)、
心腎陰虚(しんじんいんきょ)天王補心丹(てんのうほしんたん)となります。

天王補心丹(てんのうほしんたん)は日本でもあるところにはあるものですが、
鹿角散(ろっかくさん)加味三才封随丹(かみさんさいふうずいたん)は日本では簡単に手に入らないので、
少々工夫します。

まず、鹿角散(ろっかくさん)は鹿茸の入っている製剤を組み合わせることで代用し、
加味三才封随丹(かみさんさいふうずいたん)の方は短期間であれば、
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)で代用できます。
ただし、効果があればすぐ中止し、
使い過ぎないようにしてください。

ちなみに、加味三才封随丹(かみさんさいふうずいたん)
薬味(中に入っている構成生薬)は
天門冬(てんもんどう)生地黄(しょうじおう)人参(にんじん)黄柏(おうばく)甘草(かんぞう)縮砂(しゅくしゃ)
竜胆(りゅうたん)山梔子(さんしし)柴胡(さいこ)
の9つです(なるべく日本で使用されている表記に従って書いてみました)。

前半の天門冬(てんもんどう)生地黄(しょうじおう)人参(にんじん)黄柏(おうばく)甘草(かんぞう)縮砂(しゅくしゃ)までが、三才封髓丹(さんさいふうずいたん)のもので、
後半の竜胆(りゅうたん)山梔子(さんしし)柴胡(さいこ)が加味(生薬を追加した)部分です。

漢字も実は日本語表記が「加味三才封随丹(かみさんさいふうずいたん)」で
中国語表記が「加味三才封髓丹(かみさんさいふうずいたん)」です。

ズイの字が「髄」と「髓」で微妙に違います。

人参(にんじん)」もあっさりめの補気薬「党参(とうじん)」に置き換えてあったり、
縮砂(しゅくしゃ)」が「砂仁(しゃじん)」で表記してあったり、
竜胆(りゅうたん)」も「竜胆草(りゅうたんそう)」や中国語で「龙胆草(りゅうたんそう)(中国の漢字)」と書いてあったりと、色々あります。

歴史が長いせいか、
ある程度の基礎知識が無いと
読んでも分からないようなことが
漢方には結構あるものなのです。

というわけで、詳細は専門家にご質問下さい。

この処方自体を「製造」して売ることは、
現在の日本の法律ではできませんが、
各生薬を買ってきて自宅で作ることは可能です。

どうしてもという方は作る手間と煎じる手間と合わせて
かなりの労力になりますが、使用できなくはないです。

(著者 薬剤師 国際中医専門員A級合格者 山内漢方薬局 山内)

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